「第9回夢工学サロン-2023/10/24」

「第9回夢工学サロン-2023/10/24」議論概要

~川勝さんを囲んでのしゃべり場~

 

「夢工学/DEC思考の実践事例」 の紹介

~成功と失敗の5大事業プロジェクト~ <その3>

 

 文責:岩下

 


ダウンロード
<発表資料>:「5.3 <第3部>新日鐡・MCA ユニバーサル・スタジオ・プロジェクト その3 :P1〜P102」
夢工学サロン 成功と失敗の5大事業プロジェクト 第3部 川勝良昭 102223 
PDFファイル 5.9 MB

 

「夢工学/DEC思考を具体的にどういう風にやっていくのか?」「実践するには訓練が必要とのことだがどの様なことか?」という意見がありますので、改めて川勝さんに、実践編として「成功と失敗の5大事業プロジェクト」についてお話を伺うことにしました。

 1.新日鐡・MCA ユニバーサル・スタジオ PJT(1878−1879年)

  2.セガ・ジョイポリスの第1号館&全国多館展開 PJT(1992−1995年)

  3.岐阜県世界淡水魚リアル&バーチャル水族館 PJT(1995−1999年)

  4.岐阜県・昭和村 PJT(1999−2003年)

  5.新潟県・大型太陽光発電所 PJT(2005−2011年)

 

今回は<その3>として、「1.新日鐡・MCA ユニバーサル・スタジオ PJT」について、その顛末を伺いました。

  ■本 PJT 開発以前の「悪夢」と「善夢」 & 本 PJT 開発中の「悪夢」と「善夢」 2 

  ■本 PJT 開発の中止 新日鐡の中止決定で筆者が被った「悪夢」 5 

  ■本 PJT 開発の中止 筆者が被った「悪夢」を必死で克服して得た「善夢・その1」 26 

  各論 1 夢工学©(The Deam Engineering) 32 

  各論 2 悪夢工学(The Bad Dream Engineering)」 66 

  各論 3 デック思考(DEC Thinking=夢工学式発想法) 68 

  各論 4 ブルースカイ戦略(夢工学式経営戦略論) 87 / 102 (第3部・完) 

★各論5以降は、本資料「第4部」で解説 予定

(夢工学式ベンチャー起業論、夢工学式エンタテイメント論 、夢工学式テーマパーク デック経営、デック・コンサル、参考論 VE と DX) 

★「善夢・その2」と「善夢・その3」は、本資料「第4部」で解説予定 


<前座>

時間調整を兼ねまして、「P2Mクラブ」「夢工学サロン」の「これから」についてご紹介致しました。(事務局)

ダウンロード
「PMAJ会員活動全国大会2023」発表資料20231110.pdf
PDFファイル 545.6 KB

「1.新日鐡・MCA ユニバーサル・スタジオ PJT」<その3>

 

<川勝さん講話>

 ・ある日、「星に願いを」というピノキオの主題歌を聴いている最中に、直感して「夢」という概念に気づきました。その瞬間、成功した誰もが口にする「夢を持つことは成功への鍵だ」「失敗しても夢を持っていたから頑張れた」「夢を持っておれば成功する」といった言葉が腑に落ちました。この時に「夢を発見」したと思っています。これが「夢工学」の発端でした。

 

・人類の歴史も、夢の結晶だと思います。明治時代の人たちが、100年後の日本を予測した記事がありますが、驚くべきことに、その全てを実現しています。これらのことから、本物のを持って、それに挑戦する人は、必ずその夢を実現する、ということを確信しました。

 

・どういう夢を持った人が「本物の夢」を持った人かを見分けるのに、2年近くかかりました。夢が本物の夢かどうかを見極める方法がなかったのです。ある時、エルビスプレスリーの”I want you. I need you. I love you."という歌を聞いた時に、本物の夢を持っているということは、その夢がまるで恋人のように思える、そういう夢を持った人が本当の夢を持った人だろうということに気づきました。

 

・その後、ユニバーサルスタジオツアーを担当することになり、社長室で初めて黒沢監督に会いました。今大阪でハリーポッターがありますが、ユニバーサルスタジオツアーを最初に日本に持ってきた人物は、映画監督の黒沢明さんです。MCAが黒沢さんに、日本にユニバーサルスタジオツアを作りたいので、協力して欲しいと話を持ってきたということでした。

 

・東急不動産に断られた後、三井物産経由で新日鐵に話が来ました。新日鐵でもユニバーサルスタジオツアーをやるような人材はいないところを、社長から川勝がいるじゃないかということで指名がまわってきました。私がピアノをやっていることを、社長は知っていました。ニューヨーク駐在時代の上司が、後の社長だったわけです。ピアノを弾くという理由でユニバーサルの仕事にアサインされたので、余り面白くはありませんでしたが、それが私の人生を大きく変えたということです。

 

・どの会社でもプロジェクトを立ち上げた人は、それが成功することを立証する責任を負わされます。私も負わされましたので、証明するために頑張りました。市場調査のために、1億円も投資しました。結果は8-9割の確率で成功するということでした。「プロジェクトが成功する」という立証しましたが、新日鉄は最終的には中止を決断しました。

 

立証責任とは、あることを立証する責任を負わされたものが、立証できなかった場合は、立証できなかったことによる不利益を、その人物が負うということです。ということは私の立証責任は果たされなかったので、その不利益は私に負わされたということです。そのプロジェクトのリーダーから外され、やりたくない仕事に異動させられました。もう頭にきてやる気もなくなりました。このことがあって、新日鉄の取締役ポジションを捨てて、セガにスカウトされ、ジョイポリスの第1号を作りました。

 

・会社としては、それで済むかもしれませんが、この立証責任には大きな問題があります。犯罪において、疑いをかけられた者が、無実であることを証明する責任(立証責任)を負わされるとすると、悲惨なことになります。立証できない場合は、無実の罪で刑に服さなければならなくなり、基本的人権は保証されません。これと同じことが、会社組織内では平気で行われているということです。

 

「罪刑法定主義」の下では、立証責任は被疑者ではなく、罪を与える側にあるということが、民主主義の原則です。自分が無実であるということの証明は、個人で負う必要はありません。国が立証できない場合は、罰は受けないということです。従って、アリバイ証明も、個人で負う必要はありません。罪があるかどうかの立証責任は全て、国側にあります。共産主義の国では、罪刑法定主義が徹底されていませんので、疑いを掛けられた場合、その無実証明は個人に負わされます。これは非常に危険なことです。

 

・日本のビジネスの世界では、立証責任は皆さんが負わされています。社長は負っていません。これはどの会社でもそうです。プロジェクトが成功するということを証明するのは、企画部長とか、企画担当役員とか、あるいは企画担当課長とか、個人が証明しなければならないと誰もが思っていますが、これは理不尽なことです。何故、個人で負わなければならないのか、一番得するのは誰かというと社長ということになります。

 

・日本では社長が一番得なんです。何故かと言うと、立証責任を全部部下に負わせます。立証できなかった場合は部下の責任ですから、社長は部下から上がってきた話を信用するかどうかだけで意思決定しています。社長自身で立証責任を持って、連帯責任を負うということはありません。これは経営の意思決定論の中で重大な問題だと思います。経営の意思決定論で、立証責任を論じているのは川勝だけです。

  

・夢工学とPMとの違いは、「夢の実現」「夢の成功」は異なるということです。「夢の実現」は、新しい「事業プラットフォームあるいは事業基盤ができた時」であり、これがPMのスコープです。「夢の成功」は、このプラットフォーム上の事業で、顧客を獲得し、利益を上げ、投資を回収し、持続可能性を確保した時であり、これが夢工学のスコープになります。

 

例えばラーメン屋を作る場合、お店ができた時が「夢が実現」した時で、PMがやろうとしてるのはラーメン屋プラットフォームを作り上げるまでです。ラーメン屋をオープンして、お客さんが来て、固定客ができ、借金を返済して、サステナブルに利益が出て、食べていけるようになった時に初めて「夢が成功」したというわけです

 

・夢工学は夢からスタートして、構想を練って、P2Mが言っているプログラムを経て、そしてプロジェクトで事業基盤を作る、それでは半分です。残り半分は、事業プラットフォームで運営して、成功するまで、この夢から最後まで全部を見るトータルプロジェクトマネジメントです。PMよりもはるかに範囲が広いです。実は中国政法大学は、夢工学が世界初のトータルプロジェクトマネジメントであると認めて、川勝を客員教授として招聘してくれました。

 

・夢工学のポイントは「Back to Present」ということです。「Back to Future(過去から現在に戻る)」という映画がありますが、「未来から現在に戻る」ということです。夢工学では、未来の抽象的な夢(イメージ)を徹底的に具体的にします。夢が実現して、成功してる状況を、「描く」ということをやります。絵(マンガ)で、未来の夢を徹底的に、具体的に描くことをやります。それを描いて、実現する方法が現在にあるかどうかを探すという考え方です。

 

・現在ある技術、現在あるアイデアに基づいて、未来の抽象的な目的とか目標を狙うのではありません。未だ何にも実現してない、そんなことまで描くのか、取らぬ狸の皮算用じゃないか、そんなことはお構いなく、徹底的に具体的に描きます。それも何枚も描きます。その絵を基にして、それを実現する方法が現在にないかを探すのです。探すと結構見つかります。

 

・文章ではありません。ほとんどが絵です。絵が描けなかったら、絵が得意な人に書いてもらったり、あるいはそれに似た絵を貼り付けたりして作ります。現在はコンピューターで描きます。徹底的に描き、それが計画書になります。こういうやり方をやるのが夢工学の最も大きなポイントです。

 

・何故こんなことをするかですが、夢を発見し実現した多くの先人が、自分は具体的に、将来の夢を描いたと言っているんです。成功している誰もがそうして成功してます。

 

・もう1つは、映画です。映画とかテレビとかテーマパークというのは全部、存在しない未来像を徹底的に描きます。例えば映画の場合だと、ストーリーボードに描きます。このストーリーボードというのは、漫画です、紙芝居の絵です。これを徹底的に作ります。大体、4000枚から5000枚作ります。日本の映画会社ではこんなことはやっていません。

 

・現在から将来を考えて、いろんな可能性を考えると、ものすごく沢山の選択肢が出てきて、処理できなくなります。そうではなくて、夢工学のやり方は、先に未来を作るんです。徹底的に描きます。これはいくら描いてもそんなに沢山は描けません。その中から、その描いたものを実現する、現実に使えるものを探すのです。従って、数はこちらの方がはるかに少なく、効率がいいんです。

 

・これを徹底的にやります。夢が実現した状況を先に描いて、これをベースに、どれぐらいの予算にするか、人材配置をどうするか、を後で決めているんです。まさに発想は逆転しています。サクセスから逆に行くということです。何故、夢工学でそういう考え方をしたかというと、映画の仕事をやっていたからです。

 

・この未来を描くことによって、ますますやる気が出てきますので、更にいろんなアイディアが出てきます。このやり方が夢工学のBack to Presentという考え方です。このことは一般の計画書やプランニングの書籍には一切出てきません。全く真逆のやり方です。ものすごく効果がありますので是非やっていただきたいと思います。

 

必要不可欠な「成功根源要因」は何かを見つけようとしました。お金がいくらあっても、人が何人いても、いろんな技術があっても、要するにいかに豊富な人、金、技術、情報があっても、これが欠けたら絶対に成功しないものとは何かを求めたということです。その時に思いついたのがライト兄弟の話です。ライト兄弟と同じ時期に、同じように動力で飛行機を飛ばそうというグループがいたんです。このグループは、豊富な資金で、たくさんの学者を集めて、金も物も情報も潤沢に持っていたにも関わらず、ライト兄弟の方が成功しました。

 

・その根底にあるものは何かですが、「絶対的な成功要因」は何かというと3つです。1つは「本物の夢」を持ってるかどうかです。これは絶対重要です。会社でも、本物の夢を持ってない人間に、経営企画や新規事業を任せてはダメです。そんな人物にやらせたら成功はできません。本物の夢を持っているとは、まるで自分の恋人だと思って、夢に取り組むような人です。

 

2つ目は「優れた発想」をすることです。本物の夢を持ってる人は、実現したいから必死になって考えます。必死にいいアイデアを考えるから、優れた発想が出るんです。いいアイデアが出たら、感激し、3つ目の「なんとしても実現」させてやろうということになります。涙が出ようが血が流れようが、この夢をこの発想を実現するんだということになります。

 

・ライト兄弟が何故成功したかというと、「アイデアが良かった」のです。伝記を調べてみると、この3つのことがちゃんと揃っていました。何としても夢を実現しようと頑張ったわけだし、飛行機を飛ばすための、さまざまなデータを集め、分析し、次々とアイデアを出しました。それは競争相手にはできなかったということです。ライト兄弟は正に「成功根源3要因」を持っていました。皆さんのプロジェクトマネジメントでも、この3つを実現して頂きたいと思います。

 

「優れて発想」を獲得するために、どうすればいいかというと、1つは、「天才的な能力を持った人がいないかを探す」ということです。必ずいます。その人を引き込んで、然るべきポジションに与えて、その天才を中心に仕事をしてください。

2つめは、天才に頼るのではなく自らやる場合は、「発想法を体得」してやってください。デック思考は「0を1」にする発想法で、デザイン思考は「1を10」にする発想法です。従ってデザイン思考とデック思考の両方を並行してお勧めします。

 

・発想法に対しての誤解があるようですので、解消しておきたいと思います。発想は新しい商品とか製品とかを作るためだけではありません。困っているコト、例えば人事問題で、あるいはコミュニケーションで、あるいは研究開閉で、という問題がある時にこそ、この発想法を使っていただきたいです。発想法はアイデアだけではなく、問題を解決する方法なんです。発想法というのは最強の問題解決法だと思っています。使わなきゃ損です。是非ともこの考え方でやっていただきたいと思います。いい発想をすることによって、今までの問題もアッという間に解決します。

 

・発想法をマスターする方法ですが、「発想法をマスターすることは、ピアノを弾けるようになることと同じだ」と申し上げています。トレーニングを重ねて、体得しなければ身につきません。やってみなければ身につかないと思います。セミナーではワークショップで、実習をやることをお勧めします。

 

・申し上げたいことは、「修羅場」「正念場」「土壇場」、といった経験をしないと、プロジェクトを成功させることは難しいということです。この体験が実は、次の「夢成功一貫達成」プロジェクトの成功にとって重要です。私の場合は、さまざまな「悪夢」に見舞われましたが、その「修羅場」「正念場」「土壇場」の中から、余りある「善夢」を得ることもできました。また、

吉田松陰は「夢なきものは理想なし、理想なきものは計画なし、計画なきものは実行なし、実行なきものは成功なし、ゆえに夢なきものに成功なし」とまさしく夢工学を、170年前から主張しています。皆さんも、夢工学で自分の夢に、果敢にチャレンジして頂きたいと思います。 以上

 

<質疑>

・(質問)面白いと思ったのは「立証責任」ということです。意思決定をする側が、立証責任を負わなければならないということはしっくりきます。こういう言葉が何故今まで使われていなかったかと不思議に思いました。今後使わせて貰います。

⇒(回答)是非、使ってください。部下だけに立証責任を負わせていますので、日本では社長が一番楽です。経営学でも、誰もこのことに言及していません。

 

・社長だけじゃなく上司と部下の間でも同じですよね。耳が痛くなりますが、、、。

⇒同じです。部下のみに立証責任を負わせるのではなく、連帯で負うようにしてください。

 

・後半にストーリーボードが出てきましたが、あれはやりたいことを立証するために作ると考えたらいいですか?

⇒やりたいことは何かを明らかにするためにストーリーボードを作ります。ストーリーボードを作って、どうやれば成功するかを意思決定する時に立証責任が出てくるわけです。ストーリーボードは企画で是非描くべきだと思いますが、日本では描かないですね。ストーリーボードを描いて、夢を実現しないと、新しいことは生まれません。日本の国際競争力が低迷する、最大の原因はここにあります。夢を成功させていないからです。私はそう思います。

 

・ストーリーボードは3000〜4000枚描くということですが、その数に驚きます。途中でへこたれてしまうだろうと思います。夢を恋人と思っていないし、本物の夢を持ってないからだと思いますが、そこを乗り越える秘訣、コツがあれば教えて下さい。

⇒絵を描くことで、絵から発想することで、次々と連想が出てきます。例えばラーメン店を作る場合、暖簾をどうするかを考えるとします。頭の中で考えるのではなく、暖簾に近いものを自分でイメージし、それに近いものが世の中にないかを探します。それに近い絵を見つけ貼り付けるだけでも1つのアイデアです。その絵から連想して次の絵もでてきます。最初の絵から10個の絵が生まれ、個々の絵から更に10個の絵が生まれると、ねずみ算式に新しい絵が生まれるものです。

 

普通はそうやらないです。絵を描かないです。頭の中で考えて、文章を書く、それで議論ばかりする。議論というのは抽象論です。議論をするなということではなく、30分議論したら、30分は沈黙して、独りで考え、頭に浮かんだことを絵にする。その後、もう一度集まって議論をする。そうすると沢山の絵(アイディア)が集まるのでそれをシェアする。その後、また独りで考え絵にすることを繰り返す。これを数回やれば1000〜2000枚の絵はあっという間に集まります。

 

・絵を描ける人は、考えをまとめることが上手いし、人に伝えることも上手いので、周りを巻き込んで、モノゴトを進めることが上手いですね。

絵の力を活かすと、アイディアは次々に出てきます。それをやっていないだけです。是非、やってみて下さい。

 

・沢山のアイディアが出たら、取捨選択し、ストーリー化する作業も必要になると思いますが、アイディア出しの段階では、その作業は無視してやるということですか?

⇒アイディア出しの段階では、評価は一切やってはいけません。後のことは一切考えず、1万でも2万でも数を出すことが重要です。数を出す時は評価を加えてはいけないということです。

 

・アイディアを出した後には、何を選択し順番をどうするかというストーリーを描く必要がありますよね?

⇒ここで言うアイデアを出せとは、夢が実現した状況を描けということです。ストーリーを描けということなんです。従って、アイデアがバラバラに存在するのではなくて、夢が実現し成功するためのアイディアを出して描くわけです。成功してワクワクしてる状況を描くので、夢実現成功のストーリーを最初から作れということです。

 

最初は沢山は描けないかも知れませんが、どんな些細なことでも出していけば、出てきたものから、連想でドンドン広がっていきます。そうすると当初はあやふやだった夢が、だんだん具体的なイメージとして浮かび上がってきて、更にスパイラルアップで新しいアイディアを呼び起こしてストーリーを描いていくわけです。

 

半信半疑でも、夢物語でも、取らぬ狸の皮算用でもいいから、やりたいことは何なのか、ハッピーな状態を思い、描き出している内に、自然にこれが良いんじゃないかというものが見えてきますので、是非やってみて下さい。

 

・PMを学んでも夢の話には繋がらないと思いますが、夢工学とプロジェクトマネジメント関係はどのようなものですか?

⇒PMの知識体系は最初からありました。プロジェクトマネジメントという土台があったところに夢が乗ってきて「夢工学」が生まれたということです。PMの「前工程」として、「夢」という「源流アプローチ」を加えました。更に「目標の実現」で終わるPMに対して、その「成功」までを「後工程」として追加し、「夢成功一貫達成プロジェクト(Total Project Management)」として「夢工学」を提唱しました。これはP2Mの議論が始まる以前のことです。P2Mのプログラム以前に「夢」があり、「夢からスタート」すべきということです。

 

⇒「夢工学」とP2Mについて、以前に「Business Innovation SIG」で議論した資料がありますので、興味のある方にはシェアします。(佐藤さん)

ダウンロード
ビジネス・イノベーション実現フレームワーク例.png
PNGファイル 91.2 KB
ダウンロード
ビジネス・イノベーションへのP2M適用事例.pdf
PDFファイル 1.0 MB

 

・夢の議論は楽しいだろうなと思いますが、その議論をリードするリーダーにお目にかかったことがありません。多くは現実ベースの話に終始しています。それでは、0→1の発想にはつながらないと思いますが、議論を夢のフェーズまで飛躍させるやり方というものはあるでしょうか?

 

⇒夢の必要性を認識できない人に、いきなり将来の夢まで翔んだ発想を求めるのは難しいと思います。重要なことは、「夢成功一貫達成」の経験があるかどうかです。その経験の無い人には、夢の議論は無理です。従って、どんな些細なことでも構いませんので、「夢成功一貫達成」をしたことがある人物を巻き込む必要があります。

 

サラリーマンの仕事を恙無くこなして、既存事業を運営するというオペレーションのみに長けた人に、集まって夢の議論をやれと言っても無理だと思います。苦労して何事かをやり遂げた人、例えば趣味でも良いですが、自分が描いた夢で何かを成功させた、一貫して最後までやり遂げたことがある人には、「夢工学」の意味をすぐ理解してもらえると思います。

 

「夢工学」では、「夢を持っていない人にどうやって夢を持たせるか?」と「夢を持ってる人にどうやって実現するか?」という二つのアプローチがあります。

「夢がない人にどうやって夢を持たせるか」については、東大の杉原厚吉先生と議論しました。その結論は「夢を成功させた経験のある人物を巻き込んで議論する。その人のリーダーシップに頼る」、もう一つは「小さな夢でもいいから、とにかく夢成功の体験を持たせる。その経験が次の夢を描くドライバーになる」ということです。

 

人材評価する場合には、是非とも3つの「成功根源要素」を加味して評価して下さい。「本物の夢持ってるか」「優れた発想できるか」「実現の行動できるか」、この3つをやり遂げた時に「夢成功一貫達成」したということです。それは「夢の実現」だけではなく、「夢の成功」まで、一貫して達成するということです。これはビジネスに限りません。プライベートな夢でも同じです。

 

・感想ですが、「本物の夢」を持つということが根本にないと何も進まないと感じました。やり方云々の前に、本当にやりたいコトが無いと、意欲も湧かないと思います。「本物の夢」を持てば、やりたいと思うし、発想も出てくるし、何としても実現したい、という思いになるはずです。

 

「本物の夢」を持つというのが、自分も含めて、今の企業人には少ないと思います。大げさなものでなくても「こう有りたい!」と強く思えば思うほど、「引き寄せ」で成功に近づくような気がします。そういう意味で、夢をしっかり刻んで実行するということがとても大切なんだ。そこから、いろんなものに気づくし、生まれるし、成功に一歩一歩近づいていくような気がします。こういう類いの話はなかなか耳にすることがありませんので、強くそう感じた次第です。

 

⇒真面目なコメントありがとうございます。お断りしておきますが、夢工学では「夢は定義していません」、「夢を定義するのは本人」です。それから、夢を大それたと発言されましたが、それも誤解です。小さな夢で構いません。小さな夢も大きな夢も、「やってみたいという気持ちさえあればいい」だけの話です。あまり構えないで、気楽に、楽しく、明日からでもやっていけるのが一番です。一番言いたいことは「好きかどうか」です。夢は小さくてもいいので、小さい成功体験を積み重ねていけば、それが大きいものになっていきます。「やってみたいと思う気持ち」があるだけで十分です。それがいい発想を生みます。発想ということが苦手な人もいますので、発想法を体得することは学んでください。PMを勉強することより重要なのが発想法です。

 

・発想法が重要だと言われますけど、川勝さんの言われる発想法というのは「自由発想法」ですよね? 「自由発想法」というのは、どういう定義になりますか?

 

⇒DEC思考が何を目指してるかという意味では、「空想」「瞑想」「狂想」「妄想」とか、そういう極限のところまで考えてくださいということを、一番求めているかも知れません。極限まで考え、あらゆることを全部吐き出すと、その中から使えるかもというのが出てきます。

 

・川勝さんの発想法というのは、制約・枠を設けない「空想」「瞑想」「狂想」「妄想」ということですね。

 

⇒そうです、「自由に発想して下さい」ということです。例えばブレインストーミングにはルールがありますが、そういうルールは一切ありません。あくまで自分中心に考えて良いので、とことん考えてください。それを個人で沈思黙考し、次はグループで議論して、議論したらまた自分に戻って考える、ということを繰り返すと、想定外のアイディアが出てくるものです。昔の人は「発想法」などルール的なことは考えず、好き勝手に、自由に考えて、新しいことを生み出してきました。発想法云々という面倒くさいモノは無かったと思います。

 

・そうであれば「発想法」ではなく、「発想」を大事にしましょうということではありませんか?

 

⇒その通りです。「発想法」といったのは便宜的に使っています。大事なのは方法論ではなく、「発想(Creative Thinking)」そのものです。DEC思考では、「発想促進法」「発想阻害防止法」とありますが、それらはRegurgitation/Ruleのことではありません。あくまで便宜上使っているだけで、「自由発想」が基本です。

 

「意思決定」と「立証責任」それから「リスクマネジメント」について、再度ご説明をお願いします。

 

⇒意思決定の問題と立証責任問題とは、「意思決定」権を持つ人が「立証責任」を負うかどうかを議論している訳です。「立証する責任を誰が負うか」という問題と「意思決定をする責任を誰が負うか」という問題は分ける必要があります。「意思決定」は、立証された上で決定しなければならない。だから意思決定と立証責任の話は、別の次元の話ということは理解頂けると思います。

 

「リスクマネジメント」というのは、リスクをどうマネージするか、リスクをどう回避するか、という問題だったら、「失敗学」と「悪夢工学」を勉強していただきたいと思います。

 

本当の意味でリスクというのは、起こっても仕方ないものです。リスクは何故起こるかというと、人間だから失敗や不注意から起こるわけです。それをどうやって防ぐかというのが「失敗学」です。もう1つは、世の中には故意に失敗をさせる者がいるんです。これをどう防ぐか、失敗させることを防ぐ学問は、川勝の「悪夢工学」だけです。

 

「失敗学」の畑村洋太郎先生から、「失敗しないようにすれば成功する」「リスクを無いようにやればプロジェクトは成功する」と思って、「失敗学」を学びにくる者ばかりで困っていると言われたので、「失敗しないようにしても成功は絶対しない」「成功は成功するようにやらなければ成功しない」「夢工学は如何にして成功するかを説いた学問です」と答えました。「その通りです、あなたは失敗学の本質をよく分かってる」と褒められました。

 

失敗しないようにするには2つ方法があります。善意善徳の人を対象として、不注意で失敗することを防ぐのが「失敗学」です。悪いやつに失敗させられないようにするのが「悪夢工学」です。「失敗学」は、善人が失敗しないようにすること、「悪夢工学」は、悪人に失敗させられないようにすること。この2つが必要です。だからPMがやらなければならないことは、「失敗学」と「悪夢工学」両方を学ぶということです。

 

・現状のプロジェクトミーティングでは、リスクをテーマに議論をすることがほとんどで、何も新しいモノは出てきません。夢を語るよりも失敗を議論する方が、意見が通りやすい、それでどんどん失敗を避けるような話に終始し、全然展望が開けないというのが、現在のPM一番の問題だと思うんです。それを打破する方法が「夢工学」かなと期待しています。

 

⇒そうです、夢を持ってやっていただくことです。夢の成功体験をしてもらうことです。夢工学を云々する以前に、本人が成功したことがあるか否かということです。成功したこともない、あるいはそういうトライもしたこともないような人間を、プロジェクトのマネージャーにするのはバカげたことだということです。そんな人物を相手にしていたら、会社は持ちません。

 

・今の話は良く分かります。リスクマネジメントの話ばかりしてると、目標がどんどんシュリンクするんです。成功したら何が起るかという方向で議論する必要があると思うんですが、そのような会議はなかなか少ないと思います。

⇒そのような風潮は、内部の人材で変えることは難しいので、外部アドバイザーを活用して下さい。その場合、アドバイザーが「夢成功一貫達成」の経験があるか否かがポイントです。この経験のあるコンサルタントは、調べたところ、10-20%位しかいません。残り80%は、単なるオペレーションのプロというだけです。解決にはなりません。

 

社長経験を持ってる人でも、新規事業成功者は殆いません。同じプラットフォームの上で新しい商品を作ってるという既存事業の改善がやっとです。本当の新規事業開発とは、新しい事業プラットフォームを開発し、その上で新規ビジネスを立ち上げ成功まで一貫達成することです。

 

アイデアが勝負です。いくらでも成功アイデアはあります。外部から本物のコンサルを雇って、一緒になって、本物の新規事業を立ち上げて下さい。私はアドバイザーとして5つのコミュニケーションサービスを提供しています

1つ目は、助言する仕事です。これは当たり前です。

2つ目は、上司(社長)が皆さんに言いたいこと、あるいは皆さんが部下に言いたいことを、言いにくいことを変わって伝えることです。

3つ目は、あなたが上司(社長)に言いたいこと、言えないことを代わりに伝えます

4つ目は、同僚、あるいは他部門、同じ立場で、言いづらいことを伝えるます

5つ目は、最も重要ですが、外部取引先との交渉支援、対等の立場で引き合わせます

 

アイデアが出ないときは、厳しく鍛えることも必要になります。また部下を鍛え直す必要がある場合もあります。この場合、パワーハラスメントのリスクを避けるために、私が代役を努めます。

 

・ブルーオーシャン戦略とブルースカイ戦略の違いはどのようなことですか?

⇒ブルーオーシャン戦略は、現状からスタート、既存事業の改革であるのに対し、ブルースカイ戦略は、夢からスタートします。デザイン思考とDEC思考の違いに近いです。ブルースカイ戦略とブルーオーシン戦略の両方ともやっていただくと、より成功が高まります。

 

・日本の経営者が立証責任を追わないというのは理解できますが、米国の経営者はどんなスタンスでしょうか?

⇒アメリカの経営者はいつも負わされています。議論にもなりません。「逃げているか」と下からすぐ突き上げられます。「言うだけなら子供でもできる」とアメリカじゃ通用しないです。日本だけで通用する「お神輿経営」の最たるところです。

 

大会社の社長が1番楽です。中小企業の社長は必死になって、命かけでやってます。0から1のことをやってきた創業世代は本当にすごいです。仲間を作って、一緒になって、社長に直訴するくらいなことやってください。本気ですぐにでもやらなきゃだめです!  

 

<参加者アンケート>

・とても参考になりました。

・(日本の)ビジネスの場ではリスクマネジメントのことばかりを議論するが、失敗学を学んでも成功はしない という言葉が心に刺さりました。

・川勝先生の言葉の一つ一つに理論と実体験に裏打ちされた哲学を感じました。まさに「夢工学」というネーミングがふさわしいと思います。凄まじい説得力でした。

 

戻る